- 2025年2月20日
楽天で売上を上げる実践的な13個の施策│今日から出来る基本から応用まで
楽天市場は、日本最大級のECモールとして多くの消費者が利用しています。しかし、「出店したのに思うように売上が伸びない」「……
2025年8月に入ってから、多くの楽天店舗で「RPP広告のROASが急激に悪化している」という声が相次いでいます。クリックは増えているのに売上につながらない、広告費だけが膨らむ、そんな状況に頭を抱えている方も多いのではないでしょうか。
しかも問題はここ最近の広告だけではありません。今年の春ごろから「アクセスはあるのに転換率が下がり、売上も落ちてきている」という傾向が複数の店舗で同時多発的に起きています。つまり、単なる広告運用の問題ではなく、楽天市場全体の構造変化が関係している可能性が高いのです。
今回は、
について整理し、これからの楽天店舗運営に必要な視点をお伝えします。
8月に入ってから「広告費は増えているのに売上が伸びない」「ROASが目に見えて悪化した」と感じる店舗が急増しています。これは個別の運用ミスや一時的な季節要因だけではなく、楽天市場の広告配信の仕組みそのものが変化したことが大きな要因と考えられます。
特に2025年7月中旬に導入された「自動最適化」は、店舗の意思決定に代わってAIが広告配信を調整する仕組みであり、従来の運用ロジックから大きく転換するポイントとなっています。ここでは、ROAS悪化の背景にある主な要因を整理していきましょう。
2025年7月14日から楽天市場に導入された「自動最適化」配信タイプは、広告成果に応じてシステム側が入札や配信を自動調整する仕組みです。これにより、従来は店舗側で細かく管理できていたCPC(クリック単価)の調整が効きにくくなり、AIの判断に強く依存する広告運用へと変化しました。
10月末までは「手動設定」との併用期間ですが、11月以降はすべてのキャンペーンが自動最適化へ完全移行します。そのため、現在のROAS悪化は「移行期特有の揺らぎ」とも言えますが、今後はこの仕組みが標準になるため、早めの適応が不可欠です。
自動最適化では「上限CPC」の範囲内でシステムが単価を調整するため、結果的に平均CPCが高くなりやすい傾向があります。
という現象が多くの店舗で報告されています。特にこれまで低CPCで効率良く運用できていた商品ほど、この影響を強く受けています。
システムの自動調整は一定の「学習期間」を必要とするため、運用を切り替えてすぐは成果が安定しにくいのも特徴です。
さらに手動運用と自動最適化を短期間で切り替えると、アルゴリズムの学習がリセットされてしまい、ROASが乱高下する要因になります。
実は、RPP広告のROAS悪化に先立って、2025年の春ごろから「転換率・売上が落ちている」と感じる店舗が増えていました。特徴的なのは、アクセス数は確保できているのに、転換率(CVR)が下がっているという点です。つまり「人は集まっているのに買われない」という現象が、多数の店舗で同時多発的に起きているのです。
これは単に商品ページの作り込み不足や競合増加といった通説的な要因にとどまらず、楽天市場のアルゴリズムや市場環境の変化が関与していると考えられます。
近年の楽天は「AIによる最適化」を前面に打ち出しており、検索順位や露出の決定において CVR(転換率)やレビュー評価といった“成果に直結する指標” を重視する傾向が強まっています。
そのため、アクセスがあってもCVRが低い商品は検索結果で冷遇されやすくなり、結果的に「売れない → 評価が下がる → さらに売れない」という悪循環に陥るケースが増えています。
春先は新規出店や大手参入が相次ぎ、価格やポイント施策で優位に立つ店舗が検索上位を占めやすくなりました。結果として、従来は安定して売れていた店舗でも「アクセスは来るが購入されない」状態に陥りやすくなっています。
消費者の購買判断は年々シビアになっています。単に「見た目が良い」「安い」だけでは購入に至らず、レビュー・口コミ・リピート意向といった「購入後の満足度」を重視する傾向が強まっています。
つまり「LP(ランディングページ)で売り切る」時代から、“ユーザー体験や満足度まで含めた総合力”で売上が決まる時代へと移行しているのです。
ROASの悪化や転換率の低下は、一時的なノイズではなく市場とアルゴリズムの変化によって生じています。だからこそ「広告設定を調整する」だけでは不十分で、広告 × 商品 × ユーザー体験を一体で改善していくことが必要です。
自動最適化ではAIがCPCを調整するため、上限値が高いほど勝手に単価が吊り上がり、利益を圧迫するリスクが大きくなります。そのため出稿商品を制限するなどの工夫が必要になってきます。
効果の薄い商品に広告を打ち続けると、ROAS全体が悪化します。売れる商品に集中させることで効率を改善できます。
自動最適化は学習期間を必要とし、頻繁な切替は逆効果になります。安定した運用には段階的な導入が不可欠です。
一方で、自動最適化に切り替えたことでROASが改善した店舗も存在します。特に、
といった店舗では、AIによる調整がむしろプラスに働くケースが見られます。「手動の方が良い/自動の方が良い」という一律の答えはなく、店舗ごとの状況に応じて運用方法を検証することが重要です。
アクセスはあるのに売れない、多くの店舗が直面している課題です。改善の余地が大きいのは「商品ページ」「レビュー」「オファー設計」の3点です。
例えば、アパレル店舗が「身長別着用イメージ」を追加しただけでCVRが1.5倍に改善したり、食品店舗が「送料無料セット」を導入して客単価が1.4倍に上がったケースがあります。
楽天市場のAIは「売れる商品をさらに優遇する」仕組みになっています。そのためCVRやレビュー評価が低い商品は露出が減り、悪循環に陥りやすいのです。
また「LPだけで売り切る」時代は終わりつつあります。今のユーザーは購入後の体験や満足度を重視し、レビュー・リピート率・返品率までもが評価対象になっています。
8月以降のRPP広告ROAS悪化、そして春先から続いている転換率低下は、いずれも「楽天市場の仕組みの変化」と「ユーザー行動の変化」が背景にあります。単なる広告運用ミスではなく、市場全体の構造変化だからこそ、広告改善と商品・顧客体験改善を一体で進めることが欠かせません。
広告で集客する力は依然として重要ですが、それだけでは売上は伸びにくくなっています。今後の楽天市場では、商品そのものの魅力や購入後の満足度を高めることが広告成果にも直結する時代になっているといえます。
これからの楽天市場は「売れる商品がさらに売れる」構造が強まっていきます。だからこそ、広告に頼り切るのではなく、商品力と顧客満足度を磨くことが最大の広告対策になります。
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新卒で楽天株式会社に入社し、レディースファッションジャンルのECコンサルタント、靴ジャンルの立ち上げに従事。その後、楽天市場に出店するメーカー企業へ転職し、楽天店舗責任者として売上拡大に貢献。就任半年で月商200万円だった店舗を月商1,000万円まで成長させる。 ファンクションに入社後は、ECコンサルタントと店舗運営者の両方の視点を武器に店舗支援に尽力。その後、役員に就任、店舗様の成長を第一に考えながら戦略的な運営支援を行う。楽天一筋15年以上の経験と確かな実績をもとに、楽天市場での売上拡大を目指す企業の成長を支援。