【楽天RPP広告】赤字になる店舗の特徴と改善方法まとめ

【楽天RPP広告】赤字になる店舗の特徴と改善方法まとめ

「広告を出しているのに利益が残らない…」
「クリックはあるのに売上が伸びない…」

楽天に出店している店舗からよく聞かれる悩みの一つが、RPP広告(楽天プロモーション広告)が赤字になってしまう問題です。
RPP広告は楽天での集客に欠かせない施策ですが、運用を誤ると「広告費だけが積み上がり、利益が圧迫される」という悪循環に陥ってしまいます。

本記事では、RPP広告が赤字になる店舗に共通する特徴と、その改善法を解説します。まずは「なぜ赤字になるのか?」を整理してみましょう。

赤字になる店舗に共通する特徴

RPP広告で赤字になってしまう店舗には、いくつかの典型的な共通点があります。どのケースも「広告の基本ルールを押さえずに運用している」ことに起因しており、知らないうちに利益を削っているパターンです。ここでは特に多く見られる事例を紹介します。

売れにくい商品に広告を出している

RPP広告で赤字になる店舗に最も多いのが、そもそも売れにくい商品に広告をかけてしまっているケースです。
広告は“売れる商品をさらに伸ばす”ための施策であり、CVR(成約率)が低い商品に出稿しても、クリック費用だけが膨らみます。

典型的な失敗例

  • CVRが1%未満の商品
    クリック単価が30円で1,000クリックを獲得しても、購入は10件以下。
    = 広告費30,000円に対し、売上は数万円程度。利益どころか赤字です。
  • レビューが10件以下の商品
    ユーザーはレビュー数を購入判断に使います。レビューが少ない商品は購買率が低く、広告を回しても成果が出にくい傾向があります。
  • リピート率の低い商品
    単発購入で終わる商品に広告を投下しても、広告費を回収しづらい。逆にリピートされる商品なら、一度の赤字でも後の利益で取り返せます。

改善の視点

広告を出す商品の基準を「なんとなく」ではなく数値で決めることが大切です。例えば、以下のようなラインを1つの目安にすると無駄な広告費を減らせます。

  • レビュー数:50件以上
  • 平均評価:★4.0以上
  • CVR:3%以上

こうした基準をクリアした商品に広告を集中すれば、クリック=売上につながりやすく、広告費を“投資”として活かせます。

入札単価を上げすぎている

「上位表示させたい」と焦るあまり、入札単価を必要以上に高く設定してしまうのは、赤字店舗にありがちな特徴です。
クリック単価が高騰すると、売上は増えても利益が残らないという状態に陥ります。

具体例
  • 原価率50%、商品単価3,000円の商品を想定
  • 広告クリック単価を60円に設定
  • 100クリックで1件購入(CVR1%)なら広告費は6,000円
  • 1件の売上3,000円に対し原価1,500円+広告費6,000円 → 利益は▲4,500円の赤字

このように「売上は立っているのに利益が減る」ケースは、単価設定を感覚で上げすぎているときに起きます。

ポイントは「黒字になるクリック単価のライン」を知ること。自社商品の原価率とCVRを基準に、利益が残る入札ラインを数値で把握することが重要です。

広告効果を検証していない

広告の効果測定をせずに惰性で運用を続けてしまうことも、赤字の大きな原因です。
「どの商品にいくら投資して、いくら売れたか」を把握していなければ、広告費が利益を削っているかどうかすら分かりません。

ありがちなパターン

  • 広告費が売上の30%以上を占めているのに気づかず放置
  • クリック数や表示回数だけを見て「出稿し続ければそのうち売れる」と思い込む
  • 黒字商品と赤字商品を仕分けていないため、利益の出る広告配分ができない

本来やるべきこと

  • RMSのレポートや広告管理画面で「商品ごとの広告費用対効果(ROAS)」を確認する
  • 利益率の高い商品に広告をシフトし、赤字商品は思い切って停止する
  • 週単位で効果を見直し、運用を数字で判断する

効果測定をサボると「赤字広告を垂れ流す」状態になります。数字を確認して改善サイクルを回すことこそ、RPP運用の基本です。

これらの特徴に共通しているのは、「広告運用が感覚頼みになっている」という点です。赤字を防ぎ、利益を最大化するには「商品選定」「入札単価」「効果測定」をすべて数字ベースで運用する必要があります。

費用対効果を改善するためのチェックポイント

RPP広告で赤字を避けるには、感覚で運用するのではなく「数字で判断する仕組み」を作ることが大切です。ここでは実際の運用で押さえておくべきチェックポイントを整理します。

広告をかける商品を選ぶ

RPP広告では「どの商品を広告対象にするか」が利益を左右します。商品自体が売れるポテンシャルを持っているかだけでなく、広告との相性を考えることが大切です。

広告に向いている商品の条件

  • 粗利率が高い商品
    原価率が高い商品に広告をかけると、少しでもクリック単価が上がっただけで赤字に転落します。広告投資に向くのは粗利率の高い商品です。
  • 関連商品の購入につながる商品
    1商品で利益が薄くても、その後のクロスセルやリピートにつながる商品なら広告価値があります。例:お試しセット → 本商品購入。
  • 季節性やトレンド性のある商品
    今まさに需要が高い商品に広告を投じると、短期間でレビュー・売上が積み上がり、自然検索でも強くなりやすい。

避けるべき商品の特徴

  • 単価が極端に低い(例:1,000円未満の商品)
  • 粗利が薄い(利益が広告費に吸われやすい)
  • 在庫数が少ない(広告で一時的に売れても在庫切れでチャンスを逃す)

広告商品は「売れている商品」よりも「広告投資に耐えられる商品」を基準に選ぶと、利益の残りやすさが大きく変わります。

入札単価を最適化する

入札単価は「黒字になるライン」を数値で把握することが重要です。

計算イメージ

利益を残すための広告費許容枠:1,000円

商品単価:3,000円

原価率:50% → 原価1,500円

この場合、CVRが1%なら「100クリックで1件購入」になるため、クリック単価は10円以内でないと赤字になります。

こうしたシミュレーションを行い、自社商品の利益構造に合わせて「これ以上は上げてはいけない」ラインを設定しておくことが必須です。

効果測定を習慣化する

広告を黒字化させるには、「使った広告費が利益を生んでいるか」を定期的に確認することが不可欠です。多くの赤字店舗は、この検証を怠って「広告費がどんどん溶ける」状態に陥っています。

チェックするべき視点

  • ROAS(広告費用対効果)
     売上 ÷ 広告費で算出。目安は 300%以上。これを下回る商品は見直し対象。
  • 広告経由のレビュー獲得数
     広告で売れている商品にレビューが増えているかを確認。レビューが増えない広告は“将来のSEO効果”も生まれにくい。
  • 広告停止後の売上変動
     広告を一時的に止めて売上がゼロになるなら、その商品は「広告依存型」。自然検索で売れる仕組みが作れているかを測る指標になる。

運用の工夫

  • 週単位で確認 → 月単位で調整
     短期間での効果測定を習慣化し、赤字を早期に切り上げる。
  • 黒字商品にシフト
     利益が残る商品を特定し、予算を集中させる。

効果測定を仕組み化すれば、「なんとなく広告を出す」から「数字を見て運用する」へと転換でき、赤字リスクを大幅に減らせます。

RPP広告は“出せば売れる”ものではなく、“数字を管理して利益を残す”ものです。
商品選定・入札単価・効果測定という3つの視点を仕組み化することで、赤字から脱却し、広告を利益につながる投資へと変えられます。

RPP広告とSEOの関係を理解する

多くの店舗が「RPP広告=集客のための費用」と捉えていますが、楽天の仕組みを考えるとこれは半分正解で半分間違いです。実はRPP広告は “SEOを強化するための投資” という側面を持っています。

広告で売れるとSEOが強化される理由

楽天SEOは「キーワードごとの売上実績」が強く影響します。たとえば「日焼け止め」で検索 → 広告枠に表示された商品Aが売れる →楽天のシステムは「商品Aは日焼け止めで売れている」と判断し、自然検索の順位も押し上げます。

つまり広告経由の売上も「キーワード売上実績」としてカウントされ、SEO評価の材料になるのです。

よくある誤解

  • 誤解①:広告で売れてもSEOに関係ない
     → 実際には広告経由でも「そのキーワードで売れている」と楽天に認識されます。
  • 誤解②:広告を止めたら順位はそのまま
     → 広告を止めると売上実績が途絶え、SEO評価も徐々に下がっていきます。

正しい活用法

  • 広告は“順位を作るための投資”と捉える
     売れるキーワードで広告を出し、売上とレビューを積み上げる → 自然検索でも上位化。
  • 一時的なブーストに使い、最終的にはSEOで維持
     広告で土台を作り、レビュー・商品名・カテゴリを整えることで広告依存から脱却。

RPP広告を「SEOの踏み台」として戦略的に使えるかどうかが、黒字化店舗と赤字店舗を分ける分岐点になります。

まとめ│RPP広告は「数字管理」と「SEO視点」で黒字化できる

RPP広告が赤字になるのは、店舗に特有の事情ではありません。多くの場合、以下のような共通パターンが原因です。

  • 売れにくい商品に広告を出している
  • 入札単価を感覚で上げすぎている
  • 効果測定をしていない
  • 広告とSEOの関係を理解していない

逆に言えば、この4つを押さえるだけで「広告費が利益を食い尽くす赤字広告」から「利益を押し上げる投資型広告」へと変えることができます。

広告運用の本質は 「数字で管理し、利益を残す」こと。さらに楽天では、RPP広告はSEO順位を押し上げるための重要な武器でもあります。単なる販促費と考えるのではなく、「どのキーワードで売上を作るか」を意識して戦略的に使うことが黒字化への近道です。

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私がこの記事を書きました

平林 玲奈

平林 玲奈

新卒で楽天株式会社に入社し、レディースファッションジャンルのECコンサルタント、靴ジャンルの立ち上げに従事。その後、楽天市場に出店するメーカー企業へ転職し、楽天店舗責任者として売上拡大に貢献。就任半年で月商200万円だった店舗を月商1,000万円まで成長させる。 ファンクションに入社後は、ECコンサルタントと店舗運営者の両方の視点を武器に店舗支援に尽力。その後、役員に就任、店舗様の成長を第一に考えながら戦略的な運営支援を行う。楽天一筋15年以上の経験と確かな実績をもとに、楽天市場での売上拡大を目指す企業の成長を支援。

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