楽天キャンペーンの結果分析をAIで自動化、次回の施策を最適化し売上+20%を実現した方法

楽天キャンペーンの結果分析をAIで自動化、次回の施策を最適化し売上+20%を実現した方法
楽天のキャンペーン、走らせるのは頑張れる。でも終わった後の「振り返り」まで手が回らない——そんな店舗さんは多いはずです。売上やアクセスが動く大事なタイミングなのに、結果をざっと見て「良かった・悪かった」で終わってしまう。すると次回も似た施策になり、勝ちパターンが育たないまま季節だけが進んでいきます。

今回は、ChatGPTやGeminiなどのAIにキャンペーン結果を分析させ、次回の施策案まで自動で作る方法を、実務フローとプロンプト付きで解説します。

実際にこの方法を取り入れた店舗では、振り返りの質とスピードが一気に上がり、次回キャンペーンで売上+20%という成果につながりました。「分析は苦手」「時間がない」と感じている方は是非ご参考ください。
記事の目次

1.楽天キャンペーン運用で“振り返りが回らない”問題

キャンペーン後の振り返りが止まりやすいのは、時間・努力不足ではなく構造的にしんどい作業だからです。

キャンペーン期間中は在庫・広告・ページ更新・問い合わせ対応など、現場はフル回転。終わった瞬間には次の準備が始まり、「分析は落ち着いたらやろう」と先送りになりがちです。

手動分析の3つの限界

まず、手動での振り返りには避けにくい壁があります。

1)時間がかかりすぎる
楽天の管理画面やRMSには数字がたくさんありますが、キャンペーン成果を「結論が出る形」にまとめようとすると、

  • 期間の切り分け
  • 商品別/広告別/流入別の比較
  • 伸びた理由・落ちた理由の言語化
    まで必要になり、数時間〜丸1日平気で過ぎていきます。忙しい店舗運営の中で、これは現実的に続きません。

2)属人化しやすい
同じ数字を見ていても、解釈は人によって変わります。「広告が効いた」と言う人もいれば、「商品力が良かっただけ」と言う人もいる。しかも担当が変わると視点も変わるので、学びが蓄積されにくいです。

3)次回施策が“だいたい同じ”になる
振り返りが軽いと、結局「前回やったことを少し変えてまたやる」になりがちです。でもキャンペーンは、季節・競合・トレンド・広告単価が毎回変わるので、“前と同じ”は、前と同じ結果を保証しません。

振り返りが浅いと売上は伸びない

キャンペーンの数字は、ただの結果報告じゃなくて「次の売上を作るヒントの塊」です。たとえば、同じ売上+10%でも、

  • 広告経由のCVRが伸びたのか?
  • 自然検索の流入が伸びたのか?
  • 客単価が上がったのか?
  • 特定の商品だけが跳ねたのか?

で次の打ち手はまったく変わりますよね。ここを深掘りしないまま「良かったから次も同じでいこう」となると、伸びた要因を取りこぼす・落ちた要因が放置される・“偶然当たったキャンペーン”が再現できないという状態になります。つまり、振り返りが浅いほど、次回キャンペーンの上限が低くなるわけです。

2.AIによる分析でできること・メリット

じゃあ、AIを入れると何が起きるのか。結論、「人がつらい所をAIが肩代わりする」ことで、深い振り返りを素早く行う事が可能になります。

結果の要約・失敗/成功要因の抽出

まずAIが得意なのは、大量の数字・出来事をまとめて意味づけすることです。人が見ると「数字の海」で迷子になりますが、AIは

  • どこが伸びたか・その要因はなにか?
  • どこが落ちたか・どの原因はなにか?
  • 前回や平常時と比べて何が違うか

を短時間で整理してくれます。要するに、“数字を結論に変える作業”の自動化ですね。

改善仮説の自動生成

次に、要因から「じゃあ次は何を変える?」の仮説づくりに入れます。ここが人間だと時間も脳みそも使うパートなんですが、AIは

  • 伸びた要因を強化する案
  • 落ちた要因をつぶす案
  • 競合や季節要因を踏まえた別案

複数パターン出すのが得意です。

次回キャンペーン施策案の叩き台化

さらに、その仮説を「施策」に落とす叩き台まで一気に作れます。

  • どの商品を主役にするか
  • どんな訴求を強めるか
  • 広告/クーポン/LPの組み合わせ
  • 期間の切り方や予算配分

このレベルの案が、ヒントではなく“そのまま実行に持っていける形”で出てきます。だから、振り返りが「やるかやらないか」じゃなく、“毎回やるのが当たり前の運用”に変わります。

3.AI分析に必要なデータの集め方・整え方

AIにキャンペーン分析をさせるときに大事なのは、「完璧なデータ」より“判断できる最低限の型”を揃えることです。最初から細かい数字を全部渡そうとすると、準備が重くて続きません。まずは“これだけあれば次の施策が作れる”という粒度でOKです。

最低限そろえるべき指標(例:売上、CVR、流入、RPP、客単価、カテゴリなど)

キャンペーンの振り返りで、AIに渡したい最低セットはこのあたりです。

期間情報

キャンペーン期間(開始日〜終了日)・比較対象期間(直前の平常週、前回キャンペーンなど)

売上系

売上・注文数

客単価

新規/リピーター比率

流入系

アクセス人数・流入元の内訳

CVR

主要商品のCVR

広告系(RPP含む)

RPPのクリック/売上/ROAS・広告別の成果(RMSで取れる範囲で)

商品別の動き

上位商品の売上/アクセス/CVR・カテゴリ別の伸び(ざっくりでOK)

※いずれもRMSからダウンロードできるcsvデータで大丈夫です。

「全部取れない…」という場合でも大丈夫。AIは“ある情報から仮説を組み立てる”のが得意なので、まずは揃うところから始めて、運用しながら精度を上げればOKです。

データが足りない時の補い方

RMSから取得出来るデータには制限があります。

ここで大事なのは、AIに「何が見えていて、何が見えていないか」も一緒に伝えること。何のデータがあって、何のデータが不足しているかを伝えれば、AIはその前提で仮説を組み立ててくれます。

4.【実践】AIで「振り返り→次回施策」を作る手順

データが揃ったら、あとは“AIに投げる順番”さえ決めれば毎回回せます。ここでは、実際に成果が出た店舗で使っている流れをそのまま紹介します。

STEP1│ 期間/目的/キャンペーン条件を整理

まず先に、数字の前提をAIに渡します。ここが抜けると、AIは“一般論”に寄ってしまうので超重要です。

  • キャンペーンの目的(売上最大化/在庫消化/新商品認知など)
  • 実施した施策(クーポン、ポイント倍率、RPP増額、メルマガ配信、特集LPなど)
  • 対象カテゴリ・対象商品
  • 期間と比較対象(例:前週、前年同時期、前回スーパーSALEなど)

AIにとっては、「この条件のもとで発生した数字」という事が分かるだけで、分析の精度が一段上がります。

STEP2│結果データをAIに読み込ませる

前のSTEPで整理した「目的・条件」と、CSVや表にした「結果データ」をセットでAIに渡します。ここでのコツは、“まずは丸ごと投げて、全体の要約を作らせる”こと。

人間はつい「この数字を見てほしい」「ここが気になる」と部分から入りますが、AIは全体像を先に持ったほうが要因分解の精度が上がります。やることはシンプルで、

  1. 前提(期間・目的・施策内容)
  2. 結果データ(全体+商品別+広告別など)
  3. 比較対象(前週・前回・平常時)

の順で貼るだけ。「データが多いとAIが混乱しそう…」と不安になるかもですが、この段階では整理より“素材を渡す”優先でOKです。

STEP3│重要ポイント抽出(伸びた要因・落ちた要因)

データを読み込ませたら、AIにまずやらせたいのは「重要ポイントの抽出」です。ここでの狙いは、“キャンペーンの勝ち筋/負け筋を短時間で見える化すること”。

AIには次の観点で整理させます。

  • 全体で何が変わったか?
    • 売上が伸びた/落ちた
    • その主因が「流入増」なのか「CVR改善」なのか「客単価増」なのか
  • 商品別で見ると、どこが貢献したか?
    • 伸びた上位商品
    • 逆に伸びなかった主力商品
    • 予想外に動いた商品
  • 流入元・広告で何が効いたか?
    • RPPが伸びたのか
    • 自然検索が伸びたのか
    • メルマガ/クーポン反応が強かったのか

この整理が終わると、“何が起きたキャンペーンだったのか”が一言で言える状態になります。ここまで来れば、次の施策づくりはかなりラクです。

STEP4│次回キャンペーン施策案を複数生成させる

重要ポイントが出たら、すぐに「次回の打ち手案」を出させます。ここで大事なのは、AIに“必ず複数案”を作らせること。

理由は2つあって、

  • 施策は条件で正解が変わるから
    同じ“売上UP”でも、新規取りたいorリピーター強化したい、在庫整理したいでやることが変わる
  • 人間が比較して選べる状態にするため
    最初の1案だけだと、結局「まぁこれでいいか」になりやすいが、3〜5案あると、会議の質が上がる

AIに出させたい施策案の粒度は、

  • 重点商品(何を主役にするか)
  • 施策の組み合わせ(クーポン/ポイント/RPP/特集LP/メルマガなど)
  • 強める訴求(誰にどんな理由で買わせるか)
  • 予算・期間の考え方

まで入った施策のたたき台。「そのまま社内共有できる草案」が出るのが、AI活用最大のメリットです。

STEP5│人がやる最終判断と優先順位づけ

最後にやるのは、人間の仕事です。AIが出した案をそのまま採用するんじゃなく、現場の制約と照らして“実行できる形”に決めるフェーズ。

チェックするポイントは主に3つ。

  • 在庫・供給の現実
    主役商品に在庫は足りるか/追加調達できるか
  • 利益と広告費のバランス
    伸びそうでも粗利が崩れる施策は避ける/RPPを強めるならROAS目線で調整
  • 運用負荷とスピード
    キャンペーン当日までに実装できるか/チームで回せるか

この“最後の意思決定”だけ人間がやれば、分析〜草案づくりの8割はAIが終わらせてくれるので、振り返りが現実的に回るようになります。

5.楽天のキャンペーン分析時にAIに渡すプロンプト例(コピペOK)

ここまでの流れを回すために、次は実際に使えるプロンプトを出します。まずは「分析用(要約+要因抽出)」からいきましょう。

分析用プロンプト(要約+要因抽出)

あなたは楽天店舗運営のプロです。以下のキャンペーン条件と結果データを基に、

  1. キャンペーン全体の結論(何が起きたか)
  2. 成功/失敗要因の整理(流入・CVR・客単価・商品別・広告別の観点)
  3. 次回に活かすべき学び
    を、店舗運営者がすぐ理解できる形で整理してください。

【キャンペーン目的】
(例:売上最大化/新商品認知/在庫消化)

【実施施策】
(例:ポイント倍率、クーポン、RPP増額、メルマガ、特集LP など)

【期間】
キャンペーン:YYYY/MM/DD〜YYYY/MM/DD
比較期間:YYYY/MM/DD〜YYYY/MM/DD

【結果データ】
(CSV/表を貼り付ける)

※データに不足がある場合は、その前提で推測し、必要なら追加で見るべき指標も提案してください。

施策案生成プロンプト(ターゲット別/商品別)

あなたは楽天店舗のキャンペーン設計の専門家です。
先ほどの分析結果を踏まえて、次回キャンペーンの施策案を「最低5パターン」作ってください。

それぞれの施策案について、以下を必ず含めてください。

  • 狙うターゲット(新規/リピーター/比較検討層など)
  • 主役にする商品・カテゴリ
  • 施策の組み合わせ(ポイント、クーポン、RPP、特集LP、メルマガ、同梱/まとめ買いなど)
  • なぜその施策が効くと考えるか(根拠)
  • 実施優先度(高/中/低)と理由

【前回キャンペーンの分析まとめ】
(ここに分析結果の要約を貼る)

【次回の前提条件】

  • 次回キャンペーンの目的:[要入力]
  • 期間:[要入力]
  • 使える予算の目安:[要入力]
  • 在庫/供給の制約:[要入力]
  • 強化したい商品/カテゴリ:[要入力]

できるだけ、前回の成功要因を再現しつつ、変化した外部要因(季節・競合・広告単価)も踏まえて提案してください。

改善仮説の深掘りプロンプト

次回施策案の中で、特に成果インパクトが大きそうな「上位2案」を選び、
それぞれの改善仮説をさらに深掘りしてください。

深掘りでは以下の観点で整理してください。

  1. 施策が当たる条件(どんな状況なら成功しやすいか)
  2. 失敗しうるリスクと予防策
  3. 事前に確認すべき追加データや指標
  4. KPI設計(どの数字が動けば成功か)

【施策案】
(ここに施策案5つを貼り付ける)

【前回キャンペーンの結果で気になる点】
(例:CVRは伸びたが客単価が下がった/自然検索は増えたが広告ROASが悪化など)

ここまでの3プロンプト(分析→施策案→深掘り)をセットで回せば、「数字を見る → 学びを出す → 次の手を作る」が一気通貫で終わります。あとは、店舗側で“実行できる案”に整えて走らせるだけです。

6.【成功事例】AI振り返り運用で売上+20%した店舗の話

弊社で運用サポートを行い、このAI分析フローを導入して成果が出たケースを紹介します。

AI分析導入前の課題

その店舗では、スーパーSALEやお買い物マラソンなどの大型キャンペーン後、「数字は見るけど、改善案まで作れない」「施策がいつも同じになってしまう」「施策の効果が薄れてきている」という状態が続いていました。

  • 管理画面の指標を眺めて終わる
  • 成功/失敗の理由が言語化できない
  • 次回施策が“前年踏襲+ちょい調整”になりがち
  • なので、伸びても「なぜ伸びたか分からない」

担当者さん自身も「分析の重要性は分かるけど、毎回やる時間がない」というジレンマを抱えていました。

AI分析を取り入れた運用サイクル

導入後にやったことはシンプルで、「キャンペーンが終わったら48時間以内にAI振り返りを回す」ルールを作っただけです。

  1. キャンペーン条件と目的を整理
  2. 全体+上位商品の結果データをCSVで出力
  3. この記事で紹介した「分析プロンプト」をコピペしてAIに投入
  4. 重要ポイントと学びを出す・施策の貢献度を数値化する
  5. そのまま「施策案生成プロンプト」で次回案を5つ作る
  6. 週次MTGで“実行案だけ”人が決める

分析にかかる時間は、毎回30〜40分程度に縮まり、「振り返りが終わらないから次回も勘で打つ」状態から抜け出せました。

打った施策と結果(どの数字がどう変わったか)

AIの分析で見えたのは、前回の伸びが“流入増”ではなく “CVR改善”主因だったこと。そこで次回は、

  • CVRが伸びた主力2商品を“キャンペーンの軸”に固定
  • その商品の訴求軸をLPと広告文に横展開
  • RPPは「主軸商品に集中投下」してROASを維持
  • クーポンは“新規向けよりも比較検討層向け”に設計
    (施策内容は一部抜粋)

という形で、「伸びた理由を強化する設計」に寄せました。

結果、次回キャンペーンでは主役商品のCVRがさらに改善、広告費のムダ打ちが減り、全体売上を+20%まで伸ばす事に成功しました。

再現性を出すために重要なこと

この店舗で一番効いたポイントは、AI振り返りを“イベント作業”じゃなく“定例ルーティン”にしたことでした。

データの出し方をテンプレ化し、AIに渡す前提文(目的・条件)を保存、出力フォーマットを固定、「終わったらすぐやる」をチームルール化、これで、担当が変わっても同じ質で振り返り→施策づくりが回る状態ができました。

この事例のように、AIは魔法というより“振り返りを現実的に回せる形に変える道具”です。

まとめ|キャンペーンAI分析の次の一手

キャンペーンの振り返りは、やれば売上に効くと分かっていても、時間がないと続きません。でもAIを入れると、

  • 結果の要約
  • 成功/失敗要因の抽出
  • 次回施策案づくり

までが短時間で終わり、“振り返りが回る運用”に変わります。

今回紹介した手順は、いわば“店舗運営にAIを組み込む入口”です。「自社の運用に合わせて、分析〜施策づくりをもっと自動化したい」という場合は、店舗専用のAIフローとして仕組み化・システム化することもできます。

「うちの店舗だとどこから自動化できる?」という段階的なご相談でもOK!お気軽にお問い合わせください。

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    私がこの記事を書きました

    平林 玲奈

    平林 玲奈

    新卒で楽天株式会社に入社し、レディースファッションジャンルのECコンサルタント、靴ジャンルの立ち上げに従事。その後、楽天市場に出店するメーカー企業へ転職し、楽天店舗責任者として売上拡大に貢献。就任半年で月商200万円だった店舗を月商1,000万円まで成長させる。 ファンクションに入社後は、ECコンサルタントと店舗運営者の両方の視点を武器に店舗支援に尽力。その後、役員に就任、店舗様の成長を第一に考えながら戦略的な運営支援を行う。楽天一筋15年以上の経験と確かな実績をもとに、楽天市場での売上拡大を目指す企業の成長を支援。

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